温かい日が続いていますね。
当院でも、発症致死ほぼ100%の変異型猫コロナウイルスによる猫伝染性腹膜炎(FIP)の治療を行ってきました。
もともと下痢を起こすウイルスとしてコロナウイルスに感染していると
コロナウイルスに変異が起きる場合があり、猫伝染性腹膜炎を発症します。
主に発症は2峰性で、1歳未満の子猫と老齢猫が発症しやすいと言われています。
1歳未満の子の場合は、黄疸や腹水が溜まって食欲がなくなりぐったりします。
老齢猫の場合は、目の中の濁りや出血、食欲不振、けいれん、貧血などが主な症状です。
発症致死ほぼ100%であり、今まではインターフェロンの注射や抗炎症剤、免疫抑制剤、抗真菌剤の投与などが主な治療でしたが、症状の緩和程度でした。
現在、人間の新型コロナウイルス感染症の流行により、コロナウイルスに対する治療が進んできています。
人間のコロナウイルス感染症の治療薬であるレムデシビルですが、猫でも効果があると言われています。
このレムデシビルはgs441524のプロドラッグとのことです。
gs4414524という物質は、以前から猫伝染性腹膜炎に有効だということがわかっています。
現在、イギリスの方で正規品のgs4414524が発売されているようですが、入手が困難な状況です。
ブラックマーケットで、gs4414524が中国製で出回っています。
以前当院で猫伝染性腹膜炎のPCR検査で確定診断をした猫ちゃんが
gs4414524を個人輸入され、当院で血液検査やgs4414524による肝障害のケアをさせていただきました。
黄疸や腹水により食欲不振の非常に危険な状態でしたが、これにより完治し、
今も元気に暮らしています。
いいことばかりではなく、やはり確実に肝障害が出ていましたので、肝障害による生命の危機も乗り越えた結果となります。
未認可のものだけに、非常に危険なものだと思いました。
また、この治療薬は非常に高価で、血液検査や肝臓の治療も含めると百数十万くらいかかりそうです。
レムデシビルが動物の方にも回ってくると、救える命が多くなるのではと思います。
そんな中、北里大学とネオファーマジャパン社が、5-アミノレブリン酸(5-ALA)が猫コロナウイルスの増殖抑制に効果があると発表しました。
動物用のサプリメントで、エネアラという商品があります。
これにより、高脂血症にも効果があり、さらに猫伝染性腹膜炎にも効果が期待されます。
これで完治というわけではないと思いますが、gs4414524と併用して治療している例が多いようです。
当院ではFIPの患者様は、猫専用診察室以外で診察し、他の患者様がいらっしゃらない時間帯にお越しいただいています。
1頭ごとに診察着を替え、診察室の消毒を行っていますので、ご安心ください。
当院でもエネアラを処方しています。
当院では積極的に高脂血症の治療にエネアラを使っており、
これにより正常範囲内に維持できている子が多くいらっしゃいます。
ご希望の方は、当院までご相談ください。